リグナムバイタ
リグナムバイタ:
分布地域は西インド諸島・中南米・フロリダ南部
和名は癒瘡木(ゆそうぼく)。
副小型の樹木で成長が遅い。
樹高は3m、直径30cm程度にしかなりません。
心材は濃緑褐色で、濃くて甘い香りがする。
世界で一番重くて硬い木。
リグナムバイタとは「生命の木」という意味で、16世紀にはじめて発見された頃、その「ガヤック」と呼ばれた樹脂が万病に効くと信じられてきたからです。
実際に梅毒の治療薬として使われていました。
日本人にはあまりなじみのない木ですが、100℃以上に熱すると中から樹液が出てきます。
それが潤滑剤の働きをして金属との間でベアリングの役目を果たします。
その性質ゆえに以前は船のスクリューシャフトの軸受やギア・ベアリングに使われました。
現在では化学物質樹脂が製造されましたので、この役目は終わっています。
このリグナムバイタはすでに枯渇状態にあり、ワシントン条約で規制がかかっていて入手が困難で貴重な木となっています。
木材は耐酸性があります。
材面は蝋状の感触があり、木目は非常に細かく均一で木理は著しく交差しています。
そのため、加工するには非常に困難です。
また、同じ南米産の樹木として「パロサント」という木があります。
この木は香木として名前が知られています。
パロサントは古代インカ帝国時代から、その香しい濃くて甘い香りゆえにラテンアメリカの人たちは「神の木」と呼んできました。
この香りに惹かれて清いスピリットたちが集まって来る一方で、ネガティブなスピリットは退散してしまうのでと、置いておくだけで幸せを呼ぶと信じられてきました。
今でもシャーマンたちは、儀式の前に場を清めるためにパロサントを焚きます。
今日本国内ではリグナムバイタとパロサントの区別がはっきりしておらず、ほとんど同種として扱われています。
今回、このリグナムバイタで木扇を作成しました。
形状は今までの木扇と同じ、「頑固扇」風で、サイズは一尺一寸を基準にして既存の材料の寸法に合わせて、いろいろな長さ・太さ・重量になります。
鉄扇とは一味違ったリグナムバイタの独特の木肌・重さ・香りの木扇をお楽しみください。
この木は削っている時にはこげ茶色の木肌になりますが、空気に触れて時間経ってきますと緑色に変化していきます、
生まれ育った中南米から遠く離れた日本で邪気を払い、幸運を呼び寄せてくれる、頼もしい木です。
刃物や金属類の「守り刀」に抵抗のある方には、代わりにこのリグナムバイタの木扇をお薦めします。
サンドペーパーで磨いた時に出る粉は、お香のように焚きますと、情熱の国・中南米の魅惑的な香りが漂います。
この木扇には、おまかせの木扇袋が付きます(桐箱は付きません)。