名古屋の扇子職人によるこだわりの鉄扇(てっせん)・扇子

富田正 作:つげの櫛

投稿日:2013.01.16

「むさしや」の富田正さん作の「つげの櫛」の話です。

 

 

今年の成人式のお祝いにと8寸の鉄扇を購入された方がいました。おめでたいことなので私の方からも何か差し上げたいと思い、押し入れの中を探していましたら、櫛が出てきました。もちろん、一度も使ったことのない新品です。これは以前手に入れてあった「つげの櫛」でした。作者は富田正さん。現在はもうお亡くなりになっています。富田さんは美智子妃殿下がご成婚の折に髪にさす櫛を作ったことで知られた方です。私が持っていたのは小さなものでしたが、いい仕事がしてありました。ところが、差し上げるにあたり、よこやりが入ったのです。櫛は人にあげるものではない。「櫛は歯が折れたり、苦死とかいい、縁起が悪い。」と言うのです。ですから、私も少し調べてみました。確かに、昔はそう言われていたこともあった。年配の方はそう思っている人もまだ少しいる。でも今の若い人たちはそういうことをほとんど知らないことがわかりました。まして、今では「櫛は結婚する時、男性が女性に贈り、それは苦しい時もがんばって死ぬまで添い遂げようという意味で、女性が櫛を受け取ることは「プロポーズ OK」ということだそうです。そして、つげの櫛を送るというのは「もめごとをきれいにときほぐす」という意味合から縁起のいいことらしいのです。

ということで、自信をもって「つげの櫛」を鉄扇のおまけにプレゼントしました。もちろん、たいへん喜んでいただきました。

ちなみに、どんな高級な櫛も私にはもう必要ないことを添えておきます。 ← 意味のわからない方はお問い合わせください。

 
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